難病が教えてくれたこと
「古川さん、ご一緒するけど…いい?」
「…もちろん。」
まあ、元々李那が誘われてたことだし。
私がとやかく言う事でもない。
「さぁさぁ2人とも。これを機に仲良くなりたまえ。」
「君は何様だよ…」
思わず突っ込んでしまったじゃないか。
「あ、世莉香。これが大体の予定!
当日は多分時によって変わるけど大体はこんな感じで決めたよ。」
李那は先程決めた予定を井上に見せる。
「分かった。」
「じゃあトイレ行ってくんね〜」
李那は杖をついて立ち上がるとトイレに向かった。
「…」
…静かすぎる。
「古川さん、ごめんね。一緒しちゃって。」
「そんなのいいよ。李那が誘ったのは目に見えてるし。」
「…まあ、そうなんだけど…」
井上は苦笑して予定を再び見返す。
「それであの…良ければ私とも仲良くしてくれない?」
…は?
今更?
「…はあ…」
おっと思わず。
「やっぱり…無理よね…」
「何言ってんの。
いいに決まってるじゃん。」
李那が友達になった子だもん。
悪い子じゃないのは知ってるし。
李那が友達になった子で悪い子は今までいないし。
李那を信じてるから別にいいや。
「本当?」
「もちろん、これからよろしくね世莉香。」
「ありがとう…海澪…」
中学の時も仲良くしていたかったなあ。
まさか今になって仲良くなるとは…
不思議だなあ。
「ただいまぁ〜」
「おかえり。」
李那の事だ。
多分私と世莉香が話せるように席を外してくれたに違いない。
…半分本当にトイレ行きたかったんだろうけど。
「お菓子もってきてくれたよ〜美那が!」
「流石美那ちゃん。」
なんだかんだ李那の事大事にしてるよね、美那ちゃん。
「さぁさぁ、恋バナでもしようよ。暇じゃん。」
自分のベッドに腰掛けた李那はニタニタと笑いながら私と世莉香を見る。
…やっぱりもう1回言わなきゃいけないやつ…
「わ、私は別に何も…」
「えー?
蒼空の試合行くって言ったのは誰かなあ?」
「はい、私です。」
「つまりい〜?」
「…」
「え、そこは黙っちゃダメでしょ?!」
そっか。
世莉香は本気で蒼空の事好きなんだ。
まだ本気で蒼空のことが好きなんだなあ…
「蒼空の事好きでしょ。」
「え?!」
「バーレバレじゃん。
誘ったら試合見に行きたいとか…あははっ!」
李那は笑い転げている。
「分かってて誘ったでしょ?!」
「あはっ、バレた?」
ぺろっと舌を出しておどける李那。
「世莉香、まだ蒼空の事好きだと思ったから誘ったんだよ。
海澪はただ普通に誘ったけど。」
パシパシ自分の足を叩いて大笑いしている李那。
なんでもお見通しだな…
「あ、因みに私はただ、蒼空を笑いに行くだけだよ?」
…いやー、流石…
流石は李那だわ…
素直に誘われたからと言わないところが…
【古川海澪side END】
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