難病が教えてくれたこと
あいつ仮病使うことあるから…
ーピンポーン…
「はーい」
割と早く開いた扉。
声の主はもちろん蒼空。
「…元気じゃん。」
「…元気だな。」
「ん?」
寝癖でボサボサの髪。
…寝起きか?
それともほんとに具合悪かった、とか?
「蒼空、今日…」
「今日か?…ゴホッ…寝て…ケホッ…たんだよ。」
…嘘つくの下手だなあ?
顔赤いから。
熱あるのバレバレだし。
心配かけないようにしてるんだろうけど?
普通にわかってるから。
「おじゃましまーす。」
蒼空の横を通って入っていく私。
裕くんは携帯でLINEか何かを送ってから入ってきた。
「おい、海澪…ケホッ」
「風邪でしょ?わかってるから。」
そんなフラフラで咳してて風邪じゃないわけないよね?
「裕くん、蒼空部屋に強制連行して。」
「あいあいさー」
蒼空をおんぶして裕くんは2階へ上がっていく。
…さて、と…
蒼空の家のキッチンは今まで来ていた時に利用させてもらってたから今回も借りよう。
材料はあるもんね。
適当にお粥でも作っちゃえ。
鍋とおたまを拝借して私はお粥を作成。
ーピンポーン…
…あれ?誰?
蒼空のお母さんとかだったら普通に入ってくるよね?
「海澪ちゃん、俺が行くから。」
「ごめん、ありがと。」
裕くんが階段から駆け下りてきて出ようとした私を止めた。
そのまま玄関を開けて外に出て行った。
ーガチャ。
…へ?
「…主婦?」
「…えっ…?」
なんでここに居るのー?!
李那!!
「なんか久しぶりだなあ海澪見るの。」
「…」
「この家も久々。
蒼空は?」
「上で寝てる。」
「よし、GO」
え、どうやってきたの、李那…
叶夢は?
置いてきたの??
「り、李那?」
蒼空の部屋へ覗きに行く。
そろーりと覗くと真っ赤な顔をして眠っている蒼空を優しく見守る李那。
眼差しが優しい。
心配してたのが一気に解けた感じがする。
「あ、海澪」
「お粥、出来たよー」
「おー、起こすわ」
トントン、と肩を叩いて起こしにかかる。
「蒼空、起きて。」
「…ん…え、李那?!…ゲホッ…」
「落ち着け、喋んな、食え。」
…李那、単語だよ。
久しぶりでテンション上がってるのかな。
口調は厳しいけど表情は柔らかい。
丁寧にお粥をお椀に移し替えて渡してる。
「ホイ、食べれる?」
「…ん。大丈夫…腹は減ってる。」
…まあ、熱と咳があるだけで体は元気そうだもんねえ…
ーピリリ…
…ん?
誰?
携帯をポケットから出すと、友達の未来ちゃん。
萩未来ちゃん。
可愛くて面白い元気な子。
大学のオープンキャンパスで会って直ぐに仲良くなったの。
「ごめん、電話出るね。」
「うん。」
私は廊下に出て電話に出る。
「もしもし?未来ちゃん、どうしたの?」
『あっ、海澪ちん、久しぶりー!
元気??』
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