難病が教えてくれたこと
第3話
【如月李那side】
お祭りから約1ヶ月程が過ぎた今日。
夏です!
半袖の季節になりました!
…テンション少しでも上げないと死にそうなんです。
「…はーぁ…このクソ暑い中でどうして…」
「しょうがねえよ。」
「いいよね!裕くんは涼しいもん!」
「とか言いつつ温度感覚もそんなにないくせに。」
「間違いない。何も感じないから。」
半袖の季節!って病んでるのは健常者のみ。
この病院に入院している病気の人とか怪我の人にとってはすこぶるどーでもいいんです。
「投薬飽きた。」
「飽きても続けろ。」
「鬼。」
「鬼畜?それ褒め言葉だわ。」
なんだこの男。うぜえ。
「まあ我慢しろ。今日は友達来るんだろ?」
「蒼空と海澪ね。」
「そうそう。」
絶対わかってない。
「俺、更科といい友達になれそう。」
「そう?」
「うん、俺陸部じゃん。
あいつたしかバレーだったろ?」
「うん、あの小さい体でよくやってたよね。」
「それを言ってやるな…」
まあ、この男は思ってないことを普通に言えちゃうんだね。
すごいと思うよ。
「何時に来るの?」
「今何時?」
確かくるのが11時だった気がする。
「今?10時30分」
「あと30分後だね。」
「了解。」
今日私は蒼空と海澪と裕くんを仲良くさせようと思って来てもらうことにしたんだ。
私の病気の秘密を守ってくれてるこの3人を。
信頼してるから。
蒼空も裕くんも海澪のことも。
全員信頼してるからこそ、今の私の体のことも全て話したいと思う。
私の、病気の現状も。
「李那!来たよー!」
「海澪!ようこそ、如月相談事務所へ」
なんて冗談言い合ってる間は笑顔でいたい。
残り少ない私の体の自由。
私だって自由になりたいな。
「よお、李那。来たぞ。」
「やぁやぁ」
蒼空はいつものように怠そうに入ってきた。
さて、私の今の現状報告といきますか。

「今から皆様に報告させてもらいます。」

…とまあこんな感じで〜
「私はALSです。」
3人の顔に笑った。
お互いが知ってると思ってないもんね、特に裕くん。
海澪と蒼空には普通に体が人より弱いとしか報告してないって言ってたしね、私。
「李那?!それ言っていいの?!」
「裕さん、俺ら知ってましたよ。」
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