難病が教えてくれたこと
私と共に動く優しい狼。
私はいつしか来て、いつしかいなくなった狼だから霊狼。
「また色んな悪い輩が増えてきているから取り締まらないとね。」
「私たちの友達の為にもね。」
裕くんはいつもとは考えられないくらい真面目な顔になるの。
私はヤンキーになる時はほんとに無表情になるけど、裕くんはヤンキーの時とても怒っているの。
そりゃそうだよね。
街の人や身の回りの人に危害を加えているんだから。
私でも許せない。
しかも風雅くんがジョギングしてる時に輩に捕まって大怪我を負わされてるからね。
余計に許せないんだと思う。
「…裕くん、大好き。」
「俺もだよ。李那。」
「あ…どうしよう…」
「どした?」
どうしたもこうしたもない。
「体が動かない…」
「今?!」
「うん…」
どうしよう、動かない。
いつも動かなくなってしまうと私自身パニックになってしまうからダメだ。
ちゃんと現実を受け入れないと。
「今なら大丈夫…もう寝るだけだから、な?李那、落ち着け。」
「…うん…」
「何かあったら俺がいるから。」
裕くん…
私にとってなくてはならない存在だよ。
介護士も裕くんなら向いてると思う。
「李那、何も無いように抱いてるから大丈夫だ。」
「ほんと?」
「ほんと。なんならシてもいいけど?」
…また始まったよお…
みんなの前では絶対言わないし、顔もしないのに…
私の前だけではこーんなに俺様で積極的になるんだから…
「…うん、する?」
「いいの?」
「うん。体が動くうちに…ね?」
今日は私も素直だ。
しばらく裕くんと離れていたからかな、体がすんなり受け入れられる。
「なら、遠慮なく…」
裕くんは私に覆いかぶさる。
不思議と恐怖心はない。
裕くんだもん。怖くない。

「ー李那…」
「裕くん…」
「実感無いな。」
「そうなの?」
「嘘。めちゃくちゃ実感ある。」
やっと、1つになれた。
私と裕くんと。
「ごめん、俺余裕なかった。」
「なんのこと?」
「前にさ、こういう話したじゃん。」
…いつの話してるの?
あ、もしかしてあれかな?
“俺、もしするってなったら中に出すかもしれない。先に謝る”ってやつ。
「え、もしかして…」
「うん、ごめん、なかに…」
もうー…
裕くんは…
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