難病が教えてくれたこと
「…裕くん…?」
「大丈夫か?美那ちゃん…」
「うん、大丈夫。体が痛いだけ。」
…それはそうだろう…
なんせトラックが突っ込んできたんだから。
「…お姉ちゃんは…?」
「李那は美那ちゃんに血を与えすぎただけだよ。」
「そっか、お姉ちゃんO型だったっけ。」
美那ちゃんはB型。
李那は誰にでも血を与えることができるO型である。
勿論、俺もO型だ。
「お姉ちゃんには感謝しないとね…」
美那ちゃんは李那の手を握って微笑む。
「裕くんも付き添ってくれてありがとう。」
「いいんだよ。」
「うちの親共働きだからね…」
李那の親は共働きだ。
だから美那ちゃんの面倒は基本李那が見ている。
主にご飯とか、普通に生活のことに関して。
奈那さんが生きていた頃は奈那さんがお母さん替わりだったのにな…
今では李那がお母さん代わりだ。
「お姉ちゃん…」
「…ん…」
李那が目を覚ました。
「お姉ちゃん、おはょ。」
「…ん…?美那?!」
李那は起きた瞬間から美那ちゃんを凝視する。
「え、意識戻ったの?!」
「心配かけてごめんね、あと輸血ありがとう。」
ここの姉妹は本当に仲がいい。
こうやって感謝の気持ちを伝えられるのも大切だ。
【中矢裕side END】

【如月李那side】
嘘じゃないんだ。
美那がちゃんと目を覚ました。
「…美那…ほんとだよね?」
「ホントだってば!」
嘘じゃないんだ。
美那のこの手の温もりも。
美那の笑顔も。
嘘じゃないんだ。
良かった…
もう死んじゃうんじゃないかって不安だったの…
生きててよかった…美那…
私の大事な家族。
私が死ぬまで死ぬことは許さない。
「美那ぁぁぁ!」
私は最近涙腺が緩い。
だからすぐに泣いてしまう。
裕くんにもよく言われる。
「李那、泣きすぎ、うるさいよ。」
…もう、裕くんのケチ。
泣くくらいいいじゃん。
だってほんとに美那が生き返ってきてくれて嬉しいんだもん。
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