難病が教えてくれたこと
開けちゃダメなのに高1の時に開けてるのを見てしまった。
いつも透明だからバレてない。
…本人は言ってるけど、バレてると思う。
「あ、たしかにこれ李那っぽい。」
リングでピンクのやつ。
青色とセットになってて安くて可愛い。
可愛いより李那っぽい。
「やっぱり蒼空連れてきて正解だわ〜」
今日は李那の誕生日。
なんで当日に買うんだよって思うんだが。
「家にあったらボロが出そうだから毎年当日に買うんだわ。」
「なるほど。」
「これ買ってくるわ。」
ネックレスとかじゃないのが裕さんらしい。
裕さんはルンルンでお会計をしにレジに向かう。
俺はその間ピアスやイヤリングを見て回る。
買う訳でもないけど。
「蒼空お待たせ!」
「いや、大丈夫っす。」
「次行きたいんだけど、いい?」
…まだ買うのかよ。
だけど、次に裕さんが向かったのは予想外のお店だった。
李那の誕生日に花を買うのか?
花渡すのか?
「あ、これ李那にじゃねぇから。」
…李那じゃない?
「多分本人も買ってるんじゃねぇか?」
李那が?
何を言っているのか分からない。
「まだ時間あるか?蒼空」
「はい。」
「ちょっと、付き合ってくれ。」

裕さんにつれられてきたのは大きなお墓。
…如月家の墓…
李那の家の墓なのか?
「ここにさ、李那のお姉さんが眠ってるの。」
お姉さん?
李那が長女じゃねぇのか?
李那と妹の2人だと思ってた。
「奈那さん、来ましたよ。お久しぶりです。」
裕さんはお墓に向かって笑顔で話しかける。
その目には涙が滲んでいた。
奈那さん、かあ…
李那の姉妹だから綺麗な人だったんだろうなあ…
「…」
裕さんは黙って暫く手を合わせると花をお墓に添える。
「この花、李那も好きなんだよな。」
「…お墓には合わない花ですね。」
「だろ?でも、奈那さんに言われてたんだよ。
私が死んだらこの花をお墓に添えてくれってな。」
お墓参りには似つかわしくない花。
…生前のお姉さんはきっと明るくて優しくてやんちゃだったのが見て取れる。
パンジーだから。
李那らしい花。
可愛くて優しい花。
「子どもっぽいけど、この花しか俺は添えない。
それが奈那さんとの約束だから。」
何をどう約束したかは聞かない。
「…あれ?裕くん?」
後ろを振り返ると李那が花束を持って立っていた。
左手に松葉杖。
斜めがけの鞄をかけて右手に花束。
「…と、蒼空だ。」
「よお、李那。」
李那はふわりと笑うと花を添える。
やっぱりパンジーを。
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