難病が教えてくれたこと
もお…いいのに。
私が心配される筋合いなんてないの。
それなのにこんなにあったかい人達に囲まれてて…
幸せものすぎるよ…私。
「…裕くん」
「ん?」
「辞めたくなかった…本当は…最後まで笑ってたかったの…」
「…うん。」
裕くんの体温が背中にある。
優しくて落ち着く。
今なら弱音を吐いても裕くんに顔は見えない。
こんな涙でぐちゃぐちゃの顔なんて見られたくない。
「まだまだ…勉強は嫌いだけど、みんなと、笑っている時間が欲しかったの…」
私は…弱虫だから。
先にみんなと、距離を置いてしまう。
分かってるの。本当は。
私のわがままでお母さんやお父さんに迷惑を掛けていることも。
「もっとね…どうでもいい沙良の話とかで盛り上がりたかった。」
「うん。」
「…死にたくない…」
…これは私の本音だ。
死にたくない。
植物状態になりたくもない。
私はまだ、お姉ちゃんの所には行かない。
今のままお姉ちゃんのところ行ってしまったら未練が残ってしまうし、何よりお姉ちゃんに怒られてしまう。
お姉ちゃんは悔いなく死んだんだ。
私や美那、家族がずっと笑って過ごせるように。
最期までお姉ちゃんも笑ってた。
お姉ちゃんの意思を無駄にしたくない。
…まだ、やりたいことも沢山ある。
「まだ、やりたいことあるんでしょ?」
「うん。」
「俺も、手伝うよ。」
「ありがとう、裕くん…」
まずやりたいこと。
裕くんの誕生日祝いたい。
…こればかりは裕くんに手伝わせるわけにはいかない。
…よし、美那に手伝ってもらおう。
「あのね、…とりあえず何も無い。」
「…そうだった、李那はこういうやつだった。」
カクッとコントみたいにスベる裕くん。
…うん、やっぱりこういうのが1番楽しい。
「…裕くん、学校戻って。」
「…終わったら家行くわ。」
「うん、待ってる。」
…とは言っても私もパソコンで高校入学の手続きとかしなきゃなんだけどさ。
私は、まだ生きてやる。
【如月李那side END】
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