なりゆき皇妃の異世界後宮物語
☬俺の名を呼べ
 皇帝の二回目のお渡りが行われたのは、曙光と秦明の会話があった次の日だった。


 なんやかんやで、秦明の助言は曙光の背中を押している。


そのことを曙光に指摘したとしても全力で否定されるだろうが、実際のところ事実だった。


 曙光は初めて朱熹の部屋に行った後、またすぐにでも朱熹に会いたいと思った。


けれど、連日訪問するのは無理をさせてしまうだろうかとか色々考えるうちに、意識しすぎてしまってなかなかお渡りする機会を得ぬまま時が流れていた。


 一方、再び皇帝が訪れる連絡を受けた朱熹の胸は高まっていた。


『また来る』


 といい残して部屋を去ってから、いつ来るだろうかと心待ちにしていたのだ。


 今宵も銘酒をたくさん用意しておいた。


 二人で過ごす時間に、ゆっくりと寛いでもらいたいと願うのだった。
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