なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 秦明が思い出したように言った。


「それは私も気になっている」


 曙光が重々しく頷いた。


「もう会っちゃってるんじゃないか?」


「……だとしたら厄介だな。

親しくなっていないことを祈る」


「あの変わり者と親しくなるのは、よっぽどの変人じゃないと無理だぞ」


 曙光はうんともすんとも言わず、考え込むように口を閉じる。


 すると秦明は、首を振り苦悶の表情でいきなり大声を出した。


「あー、それよりも世継ぎだ、世継ぎ!

女を目の前にして息子を使わないとは何事だ!

お前の息子が泣いてるぞ!」


「……帰れ」


 曙光は冷たく言い放った。
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