なりゆき皇妃の異世界後宮物語
(私のことをどう思っているのか、全然分からないのよね)


 朱熹は不満をぶつけるように、小麦粉を丸くこねて、それを手の甲で力強く伸ばした。


(別に、何とも思っていないんでしょうけど)


 何とも思っていないから、心の声が漏れないのだ。


 そりゃそうだと思いながらも、なんだか無性に苛々する。


(あの整った顔立ちで、曙光と呼んでくれなんて甘い言葉を囁かれたら、そりゃ誰だってドキドキするわよ。

でも、陛下は私のことを何とも思っていないからそういうことが言えるんだわ。

これはある意味罪だと思うの。

無自覚の女たらしよ!)


 丸く固まった小麦粉を、ドンっと音を立ててテーブルに叩きつける。


 なぜか急に曙光に対して腹が立ってきたのだけれど、それ以上に喜んでもらいたいという気持ちが勝る。
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