なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「天河国王の兄弟間で覇権争いが起きている。

それに加えて、天江国の機密情報の一部が天河国に漏れたらしい」


「どの情報が漏れた?」


 曙光は鋭い眼差しで秦明を見つめる。


「宮廷の内部地図の一部だ。

幸い政務殿や隠し通路の場所などは漏れていない。

バレても問題がない場所だけだったが、どうして宮廷の内部地図が天河国に渡ったのか。

諜者がいる可能性がある」


「なるほど」


 天江国からも、天河国に諜者を送っている。


 だからこそ他国の動きなどが分かるわけだが、天河国からも諜者が送り込まれていても不思議ではない。


「今こそ朱熹ちゃんの力が必要だと思うのだが」


 秦明は伺うように切り出した。


「だが……彼女を危険な目に合わせたくないんだ」


秦明は呆れて言葉を失った。


それから、ふつふつと怒りが湧いてくる。
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