なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「あの方のことが気になっているからではなく、彼女の気持ちを尊重したいんだ」


「あ、やっぱり我慢できなくなってきたんだな」


 曙光はしまったと思った。


「朱熹ちゃんの気持ちを尊重するとして、その結果、朱熹ちゃんもお前に気があるとわかった時はどうするつもりなんだ?」


「どう……とは……」


「朱熹ちゃんとの間に子供ができたら、お前は覚悟を決めるのか?」


 曙光は口を噤んだ。


 この話題になると決まって黙り込む曙光に、秦明は大きなため息を吐いた。


「それより、他国の……とりわけ天河国の動きが活発化してきたらしい」


 秦明は真面目な顔で、曙光の耳元に告げた。


「活発化してきたとは?」


 曙光も周りに聞こえないように小さな声で言う。
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