なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「待て待て! 大丈夫だ。もう用は終わった」


 終わったのかよ、と秦明は心の中で毒づく。


「いやあ、少し、言いにくいことなのですが……」


「なんだ、どうした、何があった?」


 もったいぶられると逆に気になる。


「実は……朱熹様に悪い虫がついてしまったようで……」


「え……」


 曙光は、頭が一瞬真っ白になり言葉を失った。


 代わりに、興味津々といった様子で秦明が会話に混ざってきた。


「悪い虫とは、男のことか!?」


 面白いことになってきたぞと秦明は思った。


 さっきまで腹が立って仕方なかったけれど、曙光の真っ青な顔にざまあみろと溜飲が下がる。
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