なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 曙光は、嫌だと口から出そうになった言葉を無理やり飲み込んだ。


「……分かった。余も、色々と考えてみる」


 自分の気持ちを押し殺して、聞き分けがいいのは昔からだ。


 我儘な兄に振り回され、大人たちからいいように使われ、これまでこの性格によって損してきたことはたくさんある。


 優しすぎるがゆえの行いだった。


 それが曙光のいいところでもあるのだが、恋愛においていいとは限らない。


 曙光は朱熹の部屋を出る。


 互いに思い合う心は同じなのに、すれ違っていく。

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