なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 朱熹の評判は、今香の出世に多大に影響する。


 今香は朱熹に尽くしているように見えるが、内心は朱熹のことはどうでも良くて、自分の出世のことしか考えていない。


 それでも、完璧に仕事をこなす彼女を朱熹は慕っていた。


 人の関係は利害によって動くことは、幼い頃から分かっていた。


 それでいいのだ。それが人間なのだ。


 その上で、関係性を築くことが大事と両親から教わった。


 今香に礼を言って、贈り物を受け取ると、早速封を開けてみる。


 今香は退出せずに、中身が気になるようで固唾を飲んで見守っている。


 いかにも高級そうな小包みの中に入っていたのは、髪飾りだった。


 繊細な細工で蝶の形を模した大振りのそれは、とても美しかった。
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