なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 朱熹は、自分から声をかけなければ、このままずっと沈黙で終わる気がした。


 本題に入りたい気持ちは山々だったが、まずは曙光の緊張を解こうと思った。


「……お花、とても嬉しかったです」


 まつ毛を下げ、可憐な花のように頬を染める。


 いじらしいほどの可愛さに、曙光は胸が詰まった。


「余にも返しの花をありがとう。文も……とても嬉しかった」


 曙光は朱熹から貰った花と文をとても大切に保管していた。


 朱熹は一日で花が枯れてしまうので、押し花にして栞を作り大切に残していたが、曙光はそんなこと考えもつかないので、枯れた花を金庫にしまうというおかしなことをしていた。


 不器用だが、彼なりに心から大切にしているのである。
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