ビターなキミと甘い恋を。
「ねぇ、羚くん。どうしてあんなに毎日騒がれてるのに、教室に入るのが私より早いの?」


うん。くだらない質問だよねー。


「なんでって、ただ李憂が愛夢を抱きしめるのを見たくないだけ」

「え?どういう──」

「後ろのドアから入ればいいだけだろ」


あぁ!そ、それかぁ!


私はいつも、昇降口に続く廊下から歩いてきて、そこに近いドアから入る。

だが、もちろん後ろにもう1つのドアがある・・・!


な、な、な、なんという事実!


なんてばかなんだろうか私はぁぁ!


頭を抱えてうずくまっていたら。


「はぁ、ほんとばかだよね」


なんて羚くんに言われる始末。

俯いていた顔を上げたら、頬杖をつきながらフッと爽やかに笑顔を浮かべている羚くんがいた。
< 11 / 26 >

この作品をシェア

pagetop