夜。〜キャバ嬢の恋〜
それから話したのは、


ミミさんのこと
結婚のこと
お客さんのこと

…中村さんのこと



中村さんの話がでたとたん、


ゆめちゃんはだまった。



『ゆめ氏ー…

どうしたの?』



ゆめちゃんは無言。


長い沈黙でも、私はなにも言えずにいた。



しばらくして、受話器からすすり泣く声が聞こえた。



『…どうしたの?
…私、全然頼りないかもしれないけど…ゆめちゃんの話…聞くしかできないけど…

はなして…?』


ゆめちゃんは呼吸をととのえて言った。

『…昨日、みたこと…。私と店長をみたこと…

中村さんに聞いた』


私は、小さくうん、としか言えなかったけど、

多分、電話のむこうのゆめちゃんには届いてない。


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