夜。〜キャバ嬢の恋〜

 それからの記憶はあまりない。オレは、店長と相談し、店を辞めた。正確には、いったん店をしめ、リニューアルという形をとることになった時、オレだけ戻らなかった。

 なおのことがあって、オレはずっと、自分のことを振り返っていた。
 すべて、オレがまいた種だ。
 オレが現れなければ、なおは死ななかった。

 目を閉じると、なおの顔がおもい出される。その顔は、笑顔ばかりだ。

 ・・・ごめんな、なお、ごめんな・・・

 オレは、なおのことを好きだったのか?
 あの行為に愛はあったんだろうか。

 いや、オレはなおのことを、自分の存在を実感するために、利用してしまっていた。
 オレの影響で成長していくなお、オレの自尊心の肥やしにしてしまった。

 ほんと、オレ、最低。



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