夜。〜キャバ嬢の恋〜
明け方のモラトリアム

 はじめからの手紙を見つけてから、半年以上たった。

 私は無事に進級して、学年が変わり、新しく取った授業で友達もできた。

 なんとなく、最初はぎこちなかった。大学生をしている私が、なんだか変で。

 物語の中にいるような、現実感の無さ。
 朝起きる、夜寝る、昼間は学校にいって、帰りに友達とお茶したり、買い物したり、カラオケ行ったり・・・。

 なんだか『ゆうな』が『あさみ』を演じているような、不思議な他人事だった。

 それでも、何ヶ月もそうして、友達の彼氏の話を聞かされ慣れたころのには、なんとなく、あさみが、あさみの生活が、体になじんでいくような感じがした。

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