好きは何色、君の色。
「咲空?」



『私ね、色がわからない病気なの。
だから、今、璃空くんがきれいだって言った海の色も私には分からない。
海が青色だってことは分かるし、見えてる。けどね、くすんで見えるんだ私には。
海だけじゃない。私が見るすべてのものが色あせて見える。
時々思うんだ、周りの人と違う私が楽しんでいいのかな、恋していいのかな。
こんな私といて楽しいのかなって。』



「楽しいよ。楽しいから俺は咲空といるんだよ。
咲空は周りの人と見え方が違うかもしれないけど、普通の女子中学生だよ。
明子と宗介思いで、二人と遊ぶのが好きで、数学が得意。」



「ね、普通でしょ?」と私の顔を覗き込んで無邪気に笑う璃空くん。



『そう、だね。』



少しだけぎこちなく笑う私の手をギュッと璃空くんが握った。



「俺は、咲空のこと好きだよ。
冗談なし、本気で。恋愛感情の方で好き。」



私は突然のこと過ぎてなんて言ったらいいのか分からなかった。
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