私の恋は罰ゲーム。

勉強会の約束

６月のある日。由梨、黒瀬、私の三人での帰るのはもうすっかりお馴染だ。

「はぁ、もうあと少しで期末テストだよー」
日に日に迫ってくるテストに危機を感じた私は独り言を呟いた。
そんな独り言に反応するかのように黒瀬が話しかけてきた。
「香奈はバカだもんな～俺と違って！」
「バカは余計だ！」
由梨も黒瀬も危機を感じるどころか余裕なオーラを放っているところを見ると、成績がいいので心配はいらないようだ。
私が二人とのレベルの違いを感じて落ち込んでいると、なにやら二人が楽しそうに話している。
最近、由梨と黒瀬が仲良くなった。
理由はわからないが、前より確実に仲が良くなってる
はぁ～嬉しいような嬉しくないような。

「香奈落ち込んでるのか？」
そんなに落ち込んだ顔をしていたのだろうか。有名な俳優さんの話で由梨と盛り上がっていた黒瀬がふと話しかけてくる。そんな二人を見るだけでも胸を締め付けられるのは私の気のせいだろう。
「...」
「仕方ないなぁ、勉強教えてやろうか？」
なぜか返事ができないでいると、唐突な提案をされた。
「えっ、いいの！？」
嬉しくて勢いよく顔をあげる。そんな私の様子を見て苦笑いをした黒瀬が由梨のほうに顔を向ける。
「良かったら、有栖も来る？」
「うんっ！！行く！！」
二人きりがよかったなー、なんて思う性格の悪さを消すために顔を横に振り邪険を払う。
黒瀬の顔がまた私に向けられる。
「やるからには、しっかり覚えろよ！」
学校の先生みたいなことを言う黒瀬の言葉に私は顔を歪める。
「げっ～...」
「げっ～...じゃねえよ！」
頭をチョップされた。
「くっそぉー、覚えるのが一番苦手なの知ってるくせにー」
私達の会話に笑いを堪えていた由梨が笑い声を上げる。
「あっはははは！！！」
「あっ、由梨今笑ったなぁー」
「笑ってません～～」
まだ肩が震えている。全く説得力がない。
だよね？黒瀬　と言いかけたところでふと、黒瀬のことを名前で呼んでいないことに違和感を覚えた。小学校のころから一緒にいるのにいまだに名字呼びだ。名前呼びにしたらもっと距離が近くなるだろうかそんなことをかんがえながらからもう一度黒瀬に声をかける。
「ねぇ、黒瀬。」
「ん？」
前を向いていた綺麗な横顔がわたしのほうに向く。
「黒瀬のこと、翔って呼んでもいい？？」
「なんでそんなこと聞くんだよ別に勝手にすればいいよ」
そして、この会話を聞いたかと思って由梨のほうを見ると散歩中のワンコに夢中になって聞いていなかった。

　　　　数分後...
「じゃあ、日曜１０時に翔君の家集合ね！！」
「えっ？」
私がぼけっーとしている間に話が進んだみたいだった。
「おい香奈、人の話聞いてなかっただろ！」
「あ、うん」
正直に答えた。
「いや、うんって正直すぎだろ！」
バカにされた。
文句を言おうとしたところで二人がじゃあと言って解散していった。
なんだか、悔しい気持ちだけが残ってしまった。