私の恋は罰ゲーム。

帰り道

そんな事を思い出しながら、二人を待ってるとバド部が終わったらしく由梨が先に教室に入ってきた。
「はぁ~暑い~。あれ?まだ翔君まだ来てないんだ~。
サッカー部もう終わってたんだけどなぁ」
「そうなの?」
「うん。終わってたよー」
「そうなんだー。遅いね」
ガラガラッ 建付けの悪いドアが豪快に開けられる。
「っっごめん!!遅くなった!!」
「もう黒瀬、おっそい!待ちくたびれたよ」
「ごめんごめん!!」
必死に黒瀬が謝る。
「翔君遅かったね。何してたの?」
由梨の質問に黒瀬が少し顔を曇らせる。
(あっ、なんか嫌な予感。)
「あぁー...なんか告られた。1年に」
やっぱり。由梨はこんな話ききたくなかっただろう。
「そ、そうなんだ。モテるんだね、やっぱり。」

「...」
(あぁもうこの空気無理!!しかも、人を待たせておいて、なに告られてんだよ。黒瀬は。もう~仕方ないなーー)

「よし!じゃあ、帰ろー!!」
「う、うん。そうだね!!」
「おう、帰ろうぜ」
私の声にふっとしたように二人が返事をする。
少し気まずい空気がほどけたのを合図かのように部活が終わった生徒たちの声が聞こえる。
「てか、黒瀬が待たせてんだよ!!」
ドスッ かばんで黒瀬の背中を叩く。
「いってーなぁ!!」
不意打ちの攻撃に黒瀬が驚いた顔をしている。
その顔が冬眠明けのリスみたいな顔をしていたから、思わず由梨と顔を見合わせる。
「「ははははは!!」」
すると、黒瀬が少し不機嫌になる。
「だからごめんって言ってるだろー?」
「仕方がない、許して~あーげないっ」
「いやっ、香奈そこは許せよ!」
そんなじゃれ合いをしながら外に出る。すると、一緒に笑っていた由梨が上を向いて声を上げた。
「あっ。」
「どうした?有栖」
「いや、ただ空が綺麗だなぁと思って」
不思議そうに見ていた私と黒瀬も空を見上げる。確かに夕方の空ならではの様々な色が空を染めていた。綺麗だった。
「「たしかに」」
私が素直な感想を述べると黒瀬と同じことを言ってしまった。
「あっ、はもったね。」
由梨がおかしそうに言う。
「なんで、俺の真似するんだよ」
わざと怒った顔をして黒瀬が小学生みたいな文句を言ってくる。
「あんたの真似なんか誰がするか!」
私も小学生みたいな反論を返す。
なんか馬鹿馬鹿しくて、笑いを堪えていると二人も同じだったみたいでついに堪えられなくなった私からつられたようにみんなで笑う。三人の笑い声が夕焼けにこだまし、消えていった。
< 5 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop