甘い恋は復讐の後で
「あれ。せっかく可愛い格好してたのに、そんなんじゃ女の子か男なのか分からなくなっちゃうよ。」

 戻ってきた哲哉が余計なことを口走った。

「ビリヤードやるならあんなんじゃ無理だろ。」

 心外だ。という顔をする哲哉が当たり前のことのようにのたもうた。

「ビリヤードやるからこそあんな格好がいいんじゃん。」

 口先まで尖らせる哲哉に呆れ返る。

「……お前、帰れよ。」

 突き放して言っても楽しそうな顔をする哲哉にため息しか出ない。

「で、あんたはやるのか。
 やるのなら教えてやらない事もない。」

 目を輝かせた女はビリヤードに興味があることが伺えた。
 それならばと、ビリヤード場のハウスキューを何本か手にした。

「キューは店のを借りるといい。」

 ラッシャの上で転がして反りを見てやって、あとはタップの形なんかもチェックして、良さそうなのを渡した。

 自分も自分のキューを持ち、構えてみる。

「指はこうか、こう。構え易い方で。
 それで、指の上にキューをのせて体を屈めて………。」

 いつものごとく手玉と、その先の球を軽く見据えた。







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