甘い恋は復讐の後で
「あ、りがとう、……ございます。」

「ここはガキが来るところじゃねぇ。
 さっさと帰るんだな。」

 一瞥をくれて今度こそ店へ戻ろうとする俺の背中に消えそうな声が掛けられた。

「あ、あの……。助けて頂いて重ね重ね図々しいのですが、服を……貸していただけないでしょうか。」

 さきほど視界に入った引きちぎられた胸元が頭に浮かんでため息を吐いた。

「……来い。マスターに頼んでやる。」

 振り返ることも怠くて背を向けたまま歩き出した。





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