愛を私の音色に乗せて。


「そうそう!早速仕事があるんだけど、いいかな?」

…早速?!いいんですか?!

「実は君に作ってもらったあの曲の原本ね、
今度撮影の始まるドラマなんだ。
それで、今日歌ってもらった『夢想違愛』を主題歌にしたいと思ってる」

「…はい?!」

今日わたしはこの人たちに何度驚かされているのだろうか。

「そして、それをデビュー曲にしようと思ってるんだ。どうかな?」

「…すいません現実味のない話すぎて、よくわかんなくなってきました。」

本当よくわかんない。
どう言うこと?誰か教えて?

「そうだよね、今日いろんな話しすぎたからなぁ。また追い追い決めていこうね!」

「はいっ…ありがとうございます。」

「あ、そうだそうだ。
これは僕達からの提案なんだけど、」

「提案?」

「うん。紫音さん高校生じゃん?
いきなり世の中に顔を出すと、今はSNS時代だから大変なことも多い。
顔と素性は出さずに歌だけを出すのはどうかと思って。

君なら歌だけでも十分な実力がある。
でも、これだけ容姿端麗な紫音さんなら、顔出しするともっと注目を浴びる。

どうかな?紫音さんに任せるよ?」

容姿端麗?!初めて言われたんだけど?!
歌手になるって夢が出来たからには、有名になりたい!って気持ちはある。
でも、高校生の間は静かに過ごしたいかも。

「しばらくは出さない方向だと嬉しいです。」

「うん、了解!長々とごめんね?今度いつ来れそうかな?」

「学校にいない時間はいつでも大丈夫です!」

「了解っ。
次の日程はマネージャーに伝えておくから、また連絡してもらうね」

「はい!」

マネージャーって響き、慣れないなぁ…


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