Bloody Kiss♡
あの時、七海は答えをはぐらかした。
その理由を あたしは分かっていた。
内気な彼は、攻撃的なセトに憧れていたんだ。
神話の細かい内容までは、覚えていない。
“セト”や“ホルス”なんて名前さえ、あたしは忘れていた。
─ 夢のせいかな‥?
七海の夢を見たから、思い出したのかもしれない。
セトとホルス。
名前の偶然を不思議に感じながら、あたしは目の前の二人を交互に見た。
「どうした?」
突然、セトに声を掛けられ我に返った。
「ん、別に。」
あたしはスプーンを手に取って、生クリームとフルーツでデコレーションされた焼きプリンを一口食べた。
「おいし♪」
口の中に、ふんわりとした甘さが広がる。
今まで食べたどのプリンより、それは美味だった。
不意に、ボーンボーンと柱時計が七回鳴った。