Bloody Kiss♡
起き上がろうと寝返りを打った時、あの書物が目に留まった。
あたしは、もう一度 表紙を開き中を確認してみた。
昨夜は白紙だったページに、うっすらではあるけれど滲むように文字らしき何かが浮かんでいる。
ただ、どのページも読めるほどには現れていなかった。
その変化に驚きつつ、ふと思い出す。
そう‥、セトは“読めたか?”と訊いたんだ。
“読んだか?”では無かった。
可能か不可能か、それを確認していた。
「てことは、いずれ読めるようになるってこと?」
最後のページは昨夜と同じ、不可解な予言が書かれている。
─ ブラッディキス‥
直訳したら、血みどろのくちづけ‥
女神を選ぶ時って‥?
意味分かんないや‥
「ホルスに訊いてみよ‥。」
あたしは、嫌々 悪趣味なメイド服に着替え、一階のサニタリーへと向かった。