死神の恋
選抜メンバー入りを果たした私たちが盛り上がるのは、やはり今日の選考会の話題。
「でも未来がメンバーに選ばれて本当にうれしい。未来、がんばったね」
「うん。私、がんばったよ!」
真美の褒め言葉を素直に肯定したのは、全力で練習に取り組んだから。
今日くらい自分を褒めてあげてもいいんじゃないかと思って胸を張れば、真美がケラケラと笑った。
真美につられるようにクスクスと笑っていると、あっという間にどんぐり公園にたどり着いてしまった。まだまだ真美と話し足りない。でももう私と真美は仲直りをした。話はこの先、いくらでもできる。
「未来。じゃあ、また明日ね」
「うん。じゃあね」
名残惜しい気持ちを堪えつつ、真美と挨拶を交わす。そしてそれぞれの家に帰るため、別れ道を進んだ。その矢先……。
「あ、そうだ。未来、アイツとはどうなった?」
真美が言う『アイツ』とは、名前も知らない彼のこと。真美は彼の言うことはデタラメだと決めつけているし、彼に対して反抗的な態度を取る。
真美が彼のことをよく思っていないことは明らかだ。そんな真美の前で自ら彼のもとを訪ねたことを打ち明けたら、真美は怒るかもしれない。仲直りしたばかりなのに、またケンカになるのは絶対に嫌。
「な、なにもないよ」
分かれ道の少し先にいる真美に向かって大きな声で答える。
「そっか。安心した。じゃあね」
「……うん」
ニコリとして私に手を振って家に向かう真美の姿を見たら、チクリと胸が痛んだ。