御曹司とおためし新婚生活
「お、おはようございます……じゃなくて!」
「朝からピーピーわめくな」
「いえ、まだ夜中ですよ……って、それもどうでもよくて! 本当にごめんなさいっ!」
とにかく謝罪だ。
今さらなかったことにはできないけれど、誠心誠意謝らなければ。
薄暗い部屋の中、上半身だけ起こして頭を下げると東雲部長のため息が落ちた。
「まあ、あの様子じゃ予想はしていたが、覚えてないのか」
部長の呆れた声が、私の委縮した心を容赦なく突き刺す。
「すみません……! すぐ、すぐに出て行きます」
「まて。落ち着け」
「わかってます!」
そうだ。とにかく一度自分の部屋に戻って落ち着こう。
そして状況を整理しようと、急いで床に散らばっていた部屋着を着てベッドから降り、部屋を飛び出す。
が、そこで異変に気付いた。
私の部屋は廊下の一番奥だ。
東雲部長の部屋から出た場合ちょうど左側に私の部屋の扉が見えるのだけど。
左側には壁しかない。
振り向くと、そこはどう見ても私の部屋で。
東雲部長が肘をついて寝転がっているのも私のベッドで。