上司にプロポーズされて困ってます
「顔が赤いな」
課長は冷静に、なおかつ余裕綽々な態度で、私の顎に手を掛けて俯いていた顔を上げさせてきた。
必然と目が合う。
まるで獲物を捕らえた獣のような目でじっと見つめられて居たたまれないけれど、私も目を逸らすことが出来ない。
ふと、同僚が言っていたことを思い出した。
広瀬課長は今でこそ課長職に就いているから、直接営業の現場に出ることはないのだとか。
けれど、課長職に就く前は難しい契約を何度もモノにしてきた、かなりやり手の営業マンらしい。
その功績と、真面目な勤務態度によって、若くして営業第一課の課長に抜擢されたとのこと。
どうやら私はとんでもない人に捕まってしまったらしい。