きっと夢で終わらない
今朝ホームルームが終わって「八城さん」と声かけられたときは、まさか花純先生の耳に入ったのかと身構えた。
でもそういうわけではなく、面談に呼ばれただけだった。

高校三年生は、一学期期末テストが終わると三者面談が始まる。
今までの模試の結果を広げて、親を交え、受験の最終進路について相談、確認するのだ。
その前に、先生と生徒の二者面談がこれまでお昼と放課後に行われていた。

ランダムに生徒は選ばれて、先週までに私以外の生徒はあと一人を残して全員面談を終えていたのだが、朝のホームルームで「八城さん、今日お昼弁当持っていらっしゃいね」と花純先生が声をかけて来たとき、私も教室も凍りついた。でもすぐに「元村くんは放課後にいらっしゃいね」と言ったので、ホッとため息をつくのが聞こえた。

私が固まるのはわかるけれど、周囲も同じように凍てついたのを見て不思議でおかしくもあった。
だって本人たちは悪気があって、私を村八分にしていたわけではなかっただろうし。
自分たちの集中を削ぐものは排除したいというのは真っ当な考えだ。
そんな彼らにとって私が目障りなのは当然のこと。
でも私は変える気がないし、変わる気がなかった。
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