きっと夢で終わらない
悩んでいた小学校高学年。
ある時、そのことをお母さんに相談すれば、「あんたバカね」と笑われた。

その頃はまだお母さんがお父さんと離婚する前だった。
ファッションモデルをやっていたお母さんは、正直美人ではなかった。むしろお父さんの方が整っていた。けれど百七十という長身でスタイルが抜群に良く、見た目も生活も派手で、性格はとてもサバサバしていた。

まず第一に、私にあまり構わなかった。
別にお母さんが構ってくれなくても、お父さんが相手にしてくれたからなんとも思わなかったけれど、お母さんは私が抱きしめても抱きしめ返してくれなかったし、お母さんの前で泣いても涙を拭ってはくれなかった。
お母さんは私をとことん甘えさせなかったから、お母さんに素っ気なく扱われてもどうってことなかった。私の中では「お母さん」とはそういうものだと思っていたから。
だからどちらかといえば人肌を求めるような甘えたの面がある、品行方正なお父さんとは正反対で、私はどうしてこの二人が結婚したのか小さい時から疑問だったが、案の定、私が六年生になる前に離婚した。
原因は、お母さんの浮気。
お母さんは、お父さん一人に絞ることができなかった人だった。
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