きっと夢で終わらない
思えば私の周りは人間関係が回るのが早かった。
友達はいた。話す人間はいた。でも、気づいた時には、人は私から離れて行った。
何も告げずに。自然消滅的に。

ついこのあいだまで笑いあっていたのに、次の日になるの何でもない赤の他人のように振舞われることがしばしばあった。
例えば課外学習の時、一緒に苦労してご飯を炊いて喜び合った子も、その日が終わって普通の日が来ると私とは何でもなかったように話しかけてきさえしない、とか。昨日は見ていたドラマの話であんなに盛り上がっていたのに、次に私が新しい話題を持って話しかけても反応が思わしくない、とか。


その度に、何か間違えただろうか、と不安になった。
自分から声をかけて友達になることが多かったのに、声をかけに行くのが怖くなった。
もし今日は話を聞いてくれても、明日はどうだろう。
もし今日は一緒に笑ってくれても、明日はどうだろう。


いじめられているわけではなかった。
ものを隠されたり、嫌がらせをされたりはしなかった。
話しかければ嫌な顔をせずに聞いてくれたし、私の存在は認知してくれていたのだと思う。

でもそれだけだった。

当たり障りのない関係は築ける。
でも「親しい」と呼べる人がいなかった。

「仲良し」の基準が私の中でわからなくなってしまった。
人と近くなっては、離れていくたびに「近づきすぎたかな」「馴れ馴れしくしすぎたのかな」と自己嫌悪に陥った。

何がダメだったんだろう。
どうすればよかったんだろう。
< 93 / 196 >

この作品をシェア

pagetop