「しんちゃん!」は、りんが好きだ、大好きだ。
「綿雨好きだって…言ってたから…」

「うん! 大好き!!!
食べて良いの?」

「ああ…」

「やった!!!」

凜は僕からピンクの綿雨を取ると、嬉しそうに食べ始めた。

「おいしい!!!」

良かった…。喜んでくれて……。

僕は凜の隣に座ると、時計台を見る。

花火が上がるまで後7分か…。

人が少なくて、花火が綺麗に見える場所があるって、凜に誘われてここに来たけど。

僕たち二人しか居ないな…。

本当にここから花火が綺麗に見えるのか?

「しんちゃん!」

「何?」

「はい。
しんちゃんも食べて!」

僕にピンクの綿雨を差し出す凜。

「えっ? 良いよ。僕は…」

凜が全部食べなよ。

「しんちゃん…綿アメ嫌いなの?」

「嫌いじゃないけど…」

「なら、食べて!!
ねっ?」

「…分かった。
食べるよ」

「うん!!」

僕は凜からピンクの綿雨を取ると、一口食べた。

「どう?
すっごくおいしいでしょ?」

「ああ。
すっごく美味しいよ」

「でしょ?」

確かに美味しいけど、ちょっと甘過ぎるかな…。

「しんちゃん!」

「何?」
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