ストーカーに溺愛されても嬉しくないんですが。
時刻は21時。
「パラパラ降ってるね~」
「ほんとだ」
ショッピングモールから出ると、雨がパラパラ降っていた。
ふたりともバッと傘を差す。
「めっちゃ真っ暗~」
「久しぶりにこの時間に家に帰る」
「わたしも~。
あ、街でおいしいチーズタッカルビあるでしょ?」
「それって入り口入ってすぐのところ?」
「うん!今度そこ行こうよ」
「うん、いきたい!」
そんな会話をしながら、歩道を歩く。
「じゃあねつゆ~気をつけて!」
「うん、麻尋も!ばいばーい」
麻尋は電車に乗るから、駅でバイバイとなった。
チーズタッカルビおいしいよなあ。
楽しみ!
麻尋とは2年になってはじめて知り合って、4月当初、席が前後なことをきっかけに仲よくなったんだ。
サッパリした性格で気が合うんだよね。
麻尋と同じクラスになれてよかったな。
改めてそんなことを考えながら雨道を歩く。
ザーザーとさっきより雨が強くなってきた。
といってももうすぐ家に着く。
今日は課題がないから、すぐにお風呂に入って歯磨きして、さっさと寝ちゃお。
ふああと小さなあくびをかき、自分の家が見えたそのとき。
「......ん?」
家の前に......だれかいる。
だれ!?
こんな暗闇で、雨の中。
どうしてわたしの家の真ん前に立ってるの!?