大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
そんな風に微笑ましく思ったのは一瞬で、その低い声のほうに、かなりの聞き覚えがあり、思わずもたれていた下駄箱から背をうかす。
ひとの姿は、まだみえない。
だけど、誰の声かは、はっきり分かった。
「………、」
そろわない靴音がだんだんと大きくなり二人の姿が視界に映る。
それで、もう、確信する。
小さく笑い合って階段をおりてくる男の子と女の子。
何か男の子のほうが意地悪なことを言ったのか、女の子がぺち、と腕を軽くたたいて微笑む。
古びた学校の階段が、まるで、お城の階段みたいに感じてしまうのは、二人の容姿が並外て整っていて、まるで王子様とお姫様のようにお似合いだ、と思ったからで。
私は、リップを塗ったばかりなのにぎゅっと唇をかんで、下駄箱の影に隠れようとする。