大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「は、」
拍子抜け。
脈絡がないってたぶんこのことを言うんだろう。
教えたい気分って、変な千尋。
そんな気分になったことがない私からしてみれば未知の気分だ。
やっぱり賢い人はちょっと違うみたい。
「いきなり何言ってんの、千尋」
「…だって、虹が授業についていけなくなってからじゃ遅いじゃん」
だけどその脈絡のなさが、私たちにずしりとのしかかってた気まずさをどこか遠くに追いやって、肩の力がぬけて身体が軽くなった。
かたく、ぴんと張り詰めるような空気が、千尋が突然、変なことを言うから溶けていった。
空気をわざと読まなかったのか、本当に突拍子もなくそう思ったのかどちらか分からないけど、気まずさから解放されたことは確かだった。
千尋は柔らかくはねる毛先に指で触れながら、ないならないって言えば、と少しツンとした口調でそう言って私を横目で見た。