大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「――千尋とみたかった?」
千歳くんの声が、花火の音にまぎれて届く。
私は、空をみあげたまま、かすかに首を動かした。
「うん、みたかった」
声に出したら、本当にそう、強く思った。
きれいだ、って花火を見上げながら、そういう無意味なことを言い合って、すぐに消えてしまう花の光に照らされて、私が千歳くんのことを好きじゃないってちゃんと分かってる千尋と、今、千歳くんととなりに並んで花火を見上げているみたいにできたら、なにかが少しだけ変っていく気がするのに。
打ち上がる花火は、きれいだけど、私は、なんだか寂しくて仕方ないよ。
『そばに、いてあげる』その千尋の優しさも一回打ち上がって花火みたく消えて、それでもう一回どこからかやり直したい。
そのときに、千尋が私のそばにいてくれるかは分からないけれど。
だけど、今のままじゃ、打ち上がることも、光ることも、消えることもできないままだ。
「虹、」
「なに、千歳くん」
「――千尋に、思いを伝えるべきだよ」
花火よりも真っ直ぐにのぼって、それで私に着地するようなその千歳くんの強い声に、私は曖昧に頷いた。