夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

心にあった僅かな希望という水がなくなり、音もなく乾いてヒビ割れて行くような感覚。
砂漠状態の心に浮かんだのは……。

ーーああ、捨てられたんだ。

そんな感情でしかなかった。

やっと見付けた自分の居場所。
あっという間に、なくなった。
家族だと思っていたみんな。
ワシを置いて、遠くにいってしまった。


オレハ、マタ、ヒトリボッチダ……。

帰る場所もなく、挨拶を交わす家族も友もいない。
何をしても、褒めてくれる人もいない。
誰よりも速くて自慢だったこの脚も、もう、ない。

……オレニハ、ナニモ、ナイ。

独りぼっちだった事、汚いと言われた事。盗みを働き、殴られ、罵声を浴びせられた事。
ただ自分は生きているだけなのに……。
幼い頃の嫌な思い出や記憶が、暗雲のようにあっという間にワシを覆っていった。

親分《ボス》の為に生き、仕事以外何もなかったワシ。
親分《ボス》と仕事。その自分の要である二つを失い、”自分自身の夢”を持っていなかったワシは、完全に光が見えなくなっていた。

……
…………。
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