夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
会いたいよーー。
会いたくて会いたくて、募る想いが薄れる事は決してない。潤む瞳で夜空を見上げて、その想いを堪えていると……。
「こんな夜更けに何をしている。敷地内とはいえ、女の子1人で……危ないだろう?」
「!……お祖父、様ッ……」
背後から声を掛けられて振り返ると、そこには優しく微笑む祖父が立っていた。
ハッとした時には遅くて、頰を伝った涙を私は隠す事が出来なかった。
泣いているところを、見られてしまったーー。
慌てて両手で涙を拭いながら暗闇が隠してくれている事を願ったが、おそらくバレてしまっているだろう。
どう誤魔化そうか、と必死に頭の中で考えていると、お墓の前に腰を下ろしたお祖父様が口を開いた。
「私と妻は、お見合い結婚だった」
「!……え?」
「私は仕事や自分の時間が楽しくてな。恋愛に興味がなくて、ましてや……今まで会った事もない女性と結婚し、生活を共にするなんて考えられなかった」
突然で驚いたが、まるで物語を語るように、お祖父様は昔の事を思い出しながら話してくれた。