夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
***
あれから1週間が過ぎた。
今日はアラン様が言っていた企画案採用の結果が出る日で、『夜仕事が終わったら連絡をする』と言われていた。
時刻は21時過ぎ。まだ連絡はない。
「悪役のままで……居てよ」
いつもみたいに強引で、嫌味で、意地悪なアラン様だったらキッパリと拒絶出来たのに……。
私に褒美を欲しいと言った時のアラン様を思い出すと、今も胸が痛い。
三年前に聞いてしまった彼の生い立ちを知っているから余計に……。
誰かに、褒めてほしいーー。
子供の時そんな想いを口に出来なくて、背伸びをして、そのまま大人になってしまったあの表情は……ヴァロンにとてもよく似ていた。
「もうっ……。大体、何で私なのよ。あの人が頼めば、もっと良い女の人がご褒美なんていくらでもくれるじゃないッ」
そうボヤきながらも、本当はもう分かっていた。
アラン様のキスも、意地悪も、何度も自分の元へ通ってくれる事も、私から褒美が欲しい意味も……。
ーーでも、そうだと認めたくない。
それに、私が好きなのはこの世界にたった一人だ。あの人以外、愛せない。
あれから1週間が過ぎた。
今日はアラン様が言っていた企画案採用の結果が出る日で、『夜仕事が終わったら連絡をする』と言われていた。
時刻は21時過ぎ。まだ連絡はない。
「悪役のままで……居てよ」
いつもみたいに強引で、嫌味で、意地悪なアラン様だったらキッパリと拒絶出来たのに……。
私に褒美を欲しいと言った時のアラン様を思い出すと、今も胸が痛い。
三年前に聞いてしまった彼の生い立ちを知っているから余計に……。
誰かに、褒めてほしいーー。
子供の時そんな想いを口に出来なくて、背伸びをして、そのまま大人になってしまったあの表情は……ヴァロンにとてもよく似ていた。
「もうっ……。大体、何で私なのよ。あの人が頼めば、もっと良い女の人がご褒美なんていくらでもくれるじゃないッ」
そうボヤきながらも、本当はもう分かっていた。
アラン様のキスも、意地悪も、何度も自分の元へ通ってくれる事も、私から褒美が欲しい意味も……。
ーーでも、そうだと認めたくない。
それに、私が好きなのはこの世界にたった一人だ。あの人以外、愛せない。