夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
***

ただ、手と手が触れ合っているだけで心が暖まっていくーー。

そんな嘘みたいな幸せを、僕は初めて知った。


「……、……眠れない」

客室のベッドで仰向けになりながら閉じていた瞼をそっと開けると、見慣れない天井が目に映る。


ここはアカリさんに案内されてお邪魔する事になった、彼女の祖父アルバート様の別荘。
彼女の言う通り、すでに僕達がここを訪れる事を知っていたようで、使用人達はすんなりと受け入れてくれた。

そんな僕が通されたのは、部屋にお風呂まで付いた素敵な客室。
当然、アカリさんとは別の部屋だ。

「……もう少し、一緒に居たかったな」

ポツリと漏れた本音。
さっきまで彼女と繋いでいた左手を見つめると、思わず笑みが溢れた。

手袋を外したこの古傷で醜い素手を、アカリさんは躊躇なく繋いでくれた。
強く優しく握ってくれて、僕の白金色の容姿《本当の姿》を見ても瞳を合わせて微笑んでくれた。

それがどんなに嬉しくて幸せだったか、君に分かるかな?

【年末年始は多忙な為、次回更新は1月10日(金)を予定しております。
連載を楽しみにして下さっている読者様にはご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解をお願いしますm(_ _)m】
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