夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「僕、料理したことありません。だから、きっと……ご迷惑をおかけすると思いますよ?」
その言葉と寂しそうな表情から分かる。自分がやりたいと思った事を否定され続けて、相手に嫌な顔をされない為に、嫌われる前に……自ら、予防線を張ってるのだと。
そんな彼を見て、私はこう思った。
大丈夫、貴方はそのままでいいのよ?
私が、貴方を護ってあげるからーー。
私はマオさんの両手を、自分の両手で包むようにしてギュッと握った。
「迷惑なんて思いません。
初めて会った時からずっと、今も、これからも……絶対に私は、そんな事思ったりしません」
目の前の彼に感じる、素直な気持ちが溢れていた。
「私がマオさんと作りたいんです。
……それに、マオさんの"初めて"、私食べたいです」
「え?」
「マオさんが作る初めての料理、1番に食べたいです!」
「……」
「ダメ、ですか?」
少々強引かな?と思いつつも、自分の気持ちを伝えてじっと彼を見上げた。
すると、茫然と私を見つめていた彼がプッと軽く吹き出して答える。