夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「マオさん。一緒に、朝ご飯作りませんか?」
ゆっくり床から腰を上げたマオさんに、私はそう提案した。
もっと彼の事《マオさん》を知りたいーー。
その為には、一緒に色んな時間を過ごしたいと思った。
過ぎてしまった時を悔やんでいても仕方がないし、戻す事も出来ない。
ならば、今から……。今一緒に居られるこの時間を、マオさんと共に有意義に過ごしたいと思った。
一緒に居られる時間は限られていた。
アラン様が上手く誤魔化してシャルマ様を止めてくれると言っていたけど、それもいつまでと……何日保つのか全く分からない。
今こうしている間にもマオさんを連れ戻す計画が実行されていて、また引き離されてしまうかも知れない。
だから、伝えなきゃ。
ハッキリさせて、私の真実《ほんとう》の気持ちを……。
私は、前の夫《ヴァロン》として戻ってきてほしいのかーー。
それとも、今の彼《マオさん》に一緒に居てほしいのかーー。
……。
一緒に朝ご飯を作ろうという提案の返答を待っていると、彼は「え?」と一瞬嬉しそうにしたが、その後に困った様子を見せて、少し考えてから口を開いた。