いじわるな藍川くんの愛が足りない
いじめがいのあるヤツ


「藍川くんって、大人な雰囲気出てるよね~」


「そうかな?はじめて言われた」


「前の学校で絶対モテたでしょー!」


「そんなことないよ」


「もう、謙遜しちゃって~!」


「司、今日の放課後暇かー!?」


「おう、ひまひま」


「じゃあカラオケ行こうぜ~!」


...うるさい。


うしろがうるさい。


藍川くんは、転校して2日目にして...見てのとおりの人気だ。


背も高くて端正な顔つきで、愛想よくしてたら...そりゃ、モテるでしょうね。


まあ、わたしには関係のないことだけど。


男子の輪のなかにもすぐに入れてたみたいで、まるで4月からずっと一緒だったかのよう。


今日の朝、わたしはちゃんと2両目に乗ったけど、3両目からおりてくる藍川くんの姿はなかった。


ということは、きっと彼はこの高校の近くに引っ越してきたのだろう。


だから転校してきたのだろう。


そのように推理することができた。


...って、そんなことしなくていいんだけど。


それからまもなくしてチャイムが鳴り、次の授業はホームルームのため担任が来るのを待った。

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