いじわるな藍川くんの愛が足りない


「詩織、おーい、帰ってこーい」


昼休み、おにぎりを持ったままぼーっとしてしまっていたら、

友達の矢野舞(やのまい)につっこまれた。


「ハッ」


「どうせ藍色の彼のことでも考えてたんでしょ~」


舞はニヤニヤしてる。


わたしは図星のため、反論できない。


藍色の彼とは、電車の彼のこと。


彼が毎日使っているバッグが藍色のため、わたしたちは勝手にそう呼んでる。

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