独占欲高めな社長に捕獲されました
「おばあちゃんももう高齢です。父は行方不明、とはいえ、年金をもらう年でもない私が利益がほとんど出ないギャラリーを経営していくことは、ほとんど不可能です」
口にすればするほど、頭は冷静に現実を処理していく。けれど心には、ぽっかりと穴が空いたような寂寥感が残った。
「……冷えるな」
社長は私が言ったことには答えなかった。代わりに、私の手を握る。
どきりとした私の髪を、強い風がさらう。社長の大きな手が顔に覆いかぶさる髪をよけ、冷えた頬を包む。
「続きは車の中で話そう」
「車の……」
「どうせ東京に戻るんだろう」
社長は自家用車でこっちに来ているらしい。ここから東京に戻るには、結構な距離がある。長い話をするにはうってつけだろう。
頬から手が離れた。しかし握った手は放さず、社長は歩き出す。私は引かれるまま、抵抗することなく彼についていった。これ以上、ひとりで歩けるような気がしなかったから。