残念系お嬢様の日常


「スミレ様が召し上がっていらっしゃるのは何かしら」

「ブリオッシュですわ」

スミレは控えめに微笑みながら、ブリオッシュにラズベリージャムをつけて食べている。普段なら豪快に食べているけれど、花会ではお上品に食べていてホッとした。

茶道室でのプチケーキパーティーの時は、顔面ダイブしてから開き直って猫かぶるのやめちゃってたから、花会でボロをださないか少し不安だったんだよね。

普段のうわははと笑うスミレを見たら、あの人たちはどんな嫌味を言ってくることやら。


「そういえば……ある噂を耳にしたのですけれど」

斜め前に座っている英美李様がティーカップをソーサーに置き、視線だけこちらに向けてきた。


ひえー、なんかロックオンされた!


「最近真莉亜様は、野良犬を可愛がっていらっしゃるのだとか」

「野良犬……ですか?」

野良犬ってなに? 最近犬と触れ合った記憶なんてない。何かと間違えているんじゃないの?





< 121 / 653 >

この作品をシェア

pagetop