残念系お嬢様の日常


頭の痛みが増してきた。

早いところ話を切り上げて、保健室にでも行きたい。

けれど、目の前の子達は目を輝かせながら興奮気味に蒼の成績がいいことや運動が得意だということを話していて、切り出すタイミングが掴めない。


どうやってこの状況を打破するかと悩んでいると、名前を呼ばれた。


「ごめん、ちょっと彼女のこと借りてもいいかな」

先ほどまで女子生徒に囲まれていたはずの天花寺がやんわりとした口調で間に入ってきた。


頭が痛いのに天花寺に捕まってしまうなんて、なんという災難。顔に出ないように必死に表情を繕う。


「ごめんなさい。お話の続きはまた」

彼女達に断りを入れて、教室から出て行く天花寺の後を追う。

一体、私になんの話があるのだろう。不安に駆られながらも廊下に出て、階段付近まで行くと天花寺が振り返った。



「……ええっと、天花寺様?」

いくらなんでも眼前にイケメンが立っていて、じっと見つめられていたらさすがに私だって恥ずかしくなってくる。

用件を早く言ってください。心臓も騒がしいし、頭も痛いんです。助けてください。





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